(1)事業の概況
当社は「先端技術を、経済実装する。」をミッションに掲げ、AIをはじめとした新たなソフトウェア技術を、いち早くビジネスの現場にインストールし、次世代の産業創出を加速させることを目的として事業を展開しております。
事業の柱として、法人向けのAI/DXプロダクト、AI/DXソリューション、個人向けAI/DXリスキリングを提供しております。
AI/DXプロダクトでは、主にエンタープライズ企業に(従業員1,000名以上の企業約4,000社、当社定義)オンラインDXラーニング「Aidemy Business(アイデミービジネス)」、DX実践研修「Aidemy Practice(アイデミープラクティス)」を提供しております。
企業のデジタル変革を行う土台づくりや、デジタル技術内製化のために、AI/デジタル人材の育成支援を実施しています。AI/DXソリューションでは、主にエンタープライズ企業向けに様々な現場のデジタル変革に必要なテーマ選定、PoC開発(注1)、システム開発、運用までの全ての領域を顧客企業に伴走しながら支援する「Modeloy(モデロイ)」のサービスを提供しております。
個人向けAI/DXリスキリングでは、「Aidemy Premium(アイデミープレミアム)」を提供しております。AI・データ分析に特化したスクールおよび個人のキャリアを支援しております。
(2)AI/DXプロダクト~デジタル人材育成支援~(Aidemy Business、Aidemy Practice)
当社の主要サービスである「Aidemy Business」は、主にエンタープライズ企業に対してデジタル技術内製化に向けて必要なデジタル人材育成支援を行うオンラインDXラーニングです。PCやスマートフォン、タブレット等を使ってオンラインでデジタル人材を育成することが可能であり、コンテンツはオフィス内だけでなく、在宅、営業所、店舗、外出先、移動中、海外拠点など離れていても活用することが可能です。コンテンツには、分かりやすい動画形式や実際にタイピングして習得する形式があり、動画形式のコンテンツは、1つのエクササイズセクション当たりの時間が5~10分程度です。そのため忙しいビジネスパーソンが「すきま時間」を活用してデジタル技術を習得することが可能です。
「Aidemy Business」では、AI/DX等のデジタル技術を中心にエンジニア向け、ビジネス職向けに全250コース以上(2024年5月現在)を提供しており、受講者はコンテンツを自由に受講可能です。また、コンテンツの難易度を4段階に分けて提供しているため、顧客企業側が育成したい人材のレベルに合わせたカリキュラム設定が可能です。Aidemy Businessの特徴の一つですが、当社のカスタマーサクセスが顧客企業の課題やニーズをヒアリングし、個社別に適したカリキュラムにカスタマイズして提供しております。管理者向けのツールには、受講者の学習進捗状況をひと目で把握可能な管理画面や、各種データをダウンロードして分析ができる機能が付随しております。また、ユーザー管理画面の受講履歴や学習傾向を分析してデジタル推進や変革を担うリーダー候補の発掘が可能となります。
また顧客企業限定のイベントとして、定期的にデジタルに強い組織の構築を目的としたユーザー会をオンライン・オフラインで開催しております。顧客企業の役員・管理者向けにデジタル人材育成、デジタル変革の事例紹介や講演を通じて、顧客企業間の垣根を越えた交流や他社活用事例等のナレッジ共有がなされております。
「Aidemy Business」は、ライセンス数に応じて利用料金を支払うSaaS(注2)形態のサービスです。ユーザー数に応じて1ユーザー当たりの利用単価が低減するボリュームディスカウントの価格モデルとなっております。サービスの提供は、原則12ヶ月以上での契約を基本としており、12ヶ月以上の契約顧客企業を「標準契約企業」、12ヶ月未満を「トライアル契約企業」と位置付けております。
「Aidemy Business」では、サービス開始後6年以上にわたって継続的にアップデートを行っており、最新の内容を反映したコンテンツの品質、豊富なコンテンツ数、顧客企業の目的に合う最適な学習カリキュラムの提案や学習アドバイス、他社交流会の開催、顧客企業専任の担当者やカスタマーサクセスによる手厚いサポートが評価され、エンタープライズ企業を中心に、導入実績を積み上げております。提供するコンテンツの領域を継続的に拡大しており、今後も一層のシステム、コンテンツ、サポートの強化を図りながら、オンラインDXラーニングを展開してまいります。
また、「Aidemy Business」に付随したサービスとして、「Aidemy Practice」ではAI/DXの実践スキルを身につけるための講師派遣型ハンズオン研修を提供しております。さらに、顧客企業のニーズに合わせたカスタマイズ研修や、デジタル技術活用のためのコンサルティング、複数の企業の社員が1つの研修に参加するオープン型研修も実施しております。デジタル時代に必要なAI・DXスキルを実践形式の研修で提供しており、「Aidemy Business」と組み合わせた反転学習により、学習効果を高めることが可能となります。本プロダクトは理論の習得だけでなく、現場ですぐに使えるデジタルスキルやノウハウの習得を重視したプログラム構成となっております。「実践型Python研修」「DX事業立案ワークショップ」「AI活用企画ワークショップ」「新入社員向けDXプログラム」「Power BIローコードデータ可視化研修」「業務効率化のためのChatGPT」がメインのプログラムですが、顧客企業のニーズに沿ったカスマイズ研修にも柔軟に対応しております。「DPAS(Digital Professional Assessment Service)」は、企業のDX推進能力を「スキル(注3)」と「マインド・スタンス」の2軸で分析するデジタルアセスメントサービスです。デジタルスキル標準に準拠した13種類のアセスメントで人材のスキルを継続的に定点観測することで、DX推進の戦略的な人材育成を実現します。
(3)AI/DXソリューション~デジタル変革伴走型支援~(Modeloy)
当社が成長サービスと位置付けている「Modeloy」は、主にエンタープライズ企業のデジタル変革の成功体験の提供に向け、顧客伴走型で支援するサービスです。顧客企業と共にテーマ選定、PoC開発、システム開発、運用までの全ての領域で密接に協力しながらプロジェクトを推進することにより、顧客企業内にノウハウが蓄積します。このように蓄積したノウハウから新たなプロジェクトの種も生まれております。顧客企業がデジタル変革プロジェクトを一から実現するにあたっては、実運用の前段となる人材育成への学習を終えた後「テーマ選定」、「PoC開発」、「システム開発」、「運用」のステップを踏む必要があります。顧客企業内で「Aidemy Business」受講者の中からデジタル変革に強いリーダー候補人材を選別・活用することが可能です。デジタル変革伴走型支援は、システム開発を受注する形式ではなく、更に一般的な業務効率改善といった汎用テーマでもない部分がポイントです。顧客のコア領域や新規事業をテーマとしており、これによって顧客にとっての付加価値を高めることを目指しています。
「Modeloy」は主に、「課題選定支援」「PoC開発支援」「システム開発支援」の3つの領域で構成されており、全ての工程において顧客企業の支援をするケースや、3つの領域のうち1~2つの支援を行うケースがあり、顧客企業のニーズに合わせて最適な支援を実行しております。
「課題選定支援」とは、プロジェクト担当者がデジタル技術を使って解決する課題や、必要となるデータを整理することをゴールとしています。ゴールに向けてプロジェクト担当者と当社のプロフェッショナル人材が協働して、現場の業務を理解した後に、データサイエンティストが解決可能な課題に落とし込み、デジタル技術で解決すべきテーマの整理を行います。AIやML(注4)を活用する場合に必要な要素(必要性能や性能が下がった場合のリスクヘッジ、モデルの再学習の定義など)の案件提議も行います。
これまで顧客企業が取り組んだテーマの例としては、「工場内のAIによる製品目視検査システム構築」「業務プロセス効率化のための画像認識アプリケーションの開発」「実験データ管理のためのアプリケーション開発及び予測モデルの開発」などがあります。
「PoC開発支援」とは、実際にデータを使って機械学習モデルやWebアプリケーションを構築し、性能の検証を行うことをゴールとしています。顧客企業での継続的なメンテナンスを見据え、改善を行うポイントを明確にした上で開発したシステム/モデルのソースコードや、ノウハウを共有します。「システム開発支援」とは、機械学習モデル・IoTを活用したアプリケーション開発・運用において実際に現場で利用できるシステムの構築をゴールとしています。デジタルを活用したプロダクトの開発に向いているアジャイル開発手法(現在主流であるシステムやソフトウェアの開発手法の1つで、「計画→設計→実装→テスト」という開発工程を機能単位の小さいサイクルで開発を繰り返す手法)を用いることを想定しており、汎用的なAWS/Azure/GCP(アマゾン社/マイクロソフト社/グーグル社提供のクラウドサービス)等のクラウドサービスの利用など、案件ごとに最適なものを選択します。
(4)AI/DXプロダクトとAI/DXソリューションの相互シナジー
当社は収益面、顧客の課題解決フェーズにおいてAI/DXプロダクトとAI/DXソリューションが相互にシナジーを発揮することで好循環を生み出すビジネスモデルとなっております。Aidemy Businessの導入を人材育成の起点として顧客接点を獲得しご利用いただく過程で顧客企業と強固な関係を構築しながら実運用フェーズであるModeloyへ繋げることで安定した収益の獲得を目指します。Aidemy Business受講過程で顧客企業のニーズやデジタル人材育成のノウハウが当社に蓄積されていくことで、顧客課題解決に向けて適切なサポートが可能となります。
Aidemy Businessを学習したデジタル人材は、実運用のフェーズにおいて社内で活躍し、新たな価値を創出することが期待されています。当社はその過程で「Modeloy」を通じたサポートを提供することで、育った人材と一緒に課題の選定から開発・運用まで顧客企業の新たな価値創出に向け伴走します。そして共同のプロジェクトを通じて得られたノウハウやナレッジを当社のプロダクトにも還元させ、さらに次の新規プロダクト開発に活かしていくことが可能となります。顧客のプロジェクト伴走で得たノウハウやナレッジを「Aidemy Business」のコンテンツ制作に還元したり、「Aidemy Business」に続く新規プロダクトの開発も進めたりするなど伴走の成果が活かされております。更にMIに取り組む企業をサポートする中で、デジタル技術の活用を前提としたデータ基盤整備の必要性からMI領域での新サービス「Lab Bank」が誕生しました。このプロダクトは、ビッグデータやAIを使って、材料の製造方法を予測することができます。顧客企業側のデジタル人材はペアプログラミング(初心者と上級者又は上級者同士でペアを組み行う開発)などの方法で、スキルを向上させることも可能です。顧客企業が保有する材料開発や研究に関する実験データをもとに、データを構造化するためのデータベースやアプリケーション等の管理システムを構築し、蓄積したデータを利活用することができます。そして、原材料や配合割合から素材加工メーカーでの製造結果を予測するマテリアルズ・インフォマティクス(ビッグデータ、AIなどのデジタル技術の活用により、材料の製造方法を予測するなど、材料開発の効率化を図る取り組み)の基礎モデルの開発を顧客企業と共同で進める体制を構築しております。
(5)AI/DXリスキリング~個人向けAI/DXリスキリング支援~(Aidemy Premium)
当社の個人向けサービス「Aidemy Premium」は、AI・データ分析特化スクールおよび個人のキャリアを支援する完全オンラインブートキャンプです。未経験の方でも基礎から企業施策レベルまで活かせるAIスキルが身に付くAI/DX領域に特化したデジタル人材育成支援プログラムを提供しています。平均的な受講期間は、3~6ヶ月間で、マンツーマンサポートでスキルを習得できることが特徴です。
AI/DX市場は「IT人材需給に関する調査報告書」(出所:「みずほ情報総研 IT人材需給に関する調査報告書2019年3月」)によれば、IT人材は78.7万人、AI人材は12.4万人不足(ともに2030年予測)すると想定されており、AI/DX市場の成長に伴い最先端人材を現在の教育規模の10倍にあたる年2~3万人の追加育成が急務と言われるほど、今デジタル人材のニーズは高まっております。市場環境が当社ビジネスに追い風である中、当社の「Aidemy Premium」が選ばれる理由は、下記となります。
①完全オンラインで、時間や場所に縛られずスキル習得が可能
「Aidemy Premium」は完全オンラインのサービスであります。平日に忙しい会社員や、プログラミング未経験で丁寧にスキルを習得したい個人でも、自身のペースに合わせて柔軟にスキル習得のスケジュールを立てることができます。また、厚生労働省指定の教育訓練給付制度を利用できる数少ないオンラインプログラムに認定されております。
②マンツーマンサポートにより実践に近い経験ができる
プログラム受講中は専属のチューターがマンツーマンで、一人ひとりの進捗に合わせてサポートしております。添削課題や成果物はチューターが丁寧にレビューし、実務でも通用するより質の高いコードを書くためのフィードバックを行います。自身で作成したアプリケーションのポートフォリオ作成もサポートしており、転職活動ではそれを開示することで、転職先にアピールすることが可能です。
「Aidemy Premium」を利用した受講生の中には、エンジニア未経験から機械学習エンジニアへ転職された方も多数存在しております。プログラムを進める中でつまずいている箇所を質問することができ、実務的な知識を習得することができることは独学にはないポイントとして評価されております。
③「講座受け放題」で、さらに学べる
「Aidemy Premium」では受講期間内であれば、自然言語処理・AIアプリ開発等のプログラムからさらに習得したいプログラムを自由に追加で受講することが可能です。
「Aidemy Premium」では2023年4月末時点で計7の講座を提供しておりますが、主にユーザーから選択される講座は次の4つです。特に(1)~(4)の講座は、経済産業省より第四次産業革命スキル取得講座(通称「Reスキル講座」(注5))に認定されており、厚生労働省指定の教育訓練給付制度の活用が可能であることから受講料の最大70%が支給されるため、受講者は自己負担を大幅に軽減することが可能です。
(1)AIアプリ開発講座
画像認識を利用した機械学習を用いたWebサービスを作成する講座であります。データの取得から、機械学習アルゴリズム、Webアプリの実装までの流れを学ぶことができます。
(2)データ分析講座
データの自動取得(スクレイピング)、機械学習、時系列解析等のスキルが習得できます。応用課題では、タイタニック号の乗客の生存率を予測する課題、最終課題ではオリジナルデータを利用したデータ分析を行います。
(3)自然言語処理講座
機械学習、ディープラーニング、自然言語処理を学び、応用課題ではツイッターのデータから、会社の株価を予測するモデルを作成します。
(4)JDLA E資格(注6)対策コース
JDLA(一般社団法人 日本ディープラーニング協会)認定プログラムとして、E資格の試験の対策を行います。機械学習、ディープラーニングを中心とした最新技術についての理論を学び、豊富な演習問題で機械学習モデルの実装スキルを磨きます。
ユーザーが受けられるサポートとして、チャット機能によるサポート、チューターによるコードレビュー、オンラインカウンセリング、転職相談があります。
申込にあたっては、無料オンライン相談会でユーザーの疑問や不安を解消しております。また、開始後8日以内であって、開始後に満足いただけない場合は全額返金保証も付けており、ユーザーは安心してコースを開始することができます。
(注記)
番号 | 用語 | 解説 |
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1 | PoC | 「Proof of Concept」の略。概念実証。新たなアイデアやコンセプトの実現可能性やそれによって得られる効果などについて検証すること。事前に検討したアイデアやコンセプトの実現可能性を見極め、期待した効果が得られると判断できれば実プロジェクトを進めていくことになる。 |
2 | SaaS | 「Software as a Service」の略。インターネット経由でサービスが提供される形態。 |
3 | スキル | スキルは「基礎スキル」と5つの人材類型の「専門スキル」からなり、それぞれ知識と経験の項目に分かれています。 |
4 | ML | 「Machine Learning」の略。機械学習のことで、人工知能技術の主要な研究分野。データを反復的に学習させ、そこに潜むパターンを見つけ出すことで、コンピュータ自身が予測・判断を行うための技術・手法。 |
5 | Reスキル講座 | 講座を受講した修了生に対して、受講費用の50%(年間上限40万円)、更に受講修了日から1年以内に資格取得等し、被保険者として雇用された又は雇用されている等の場合には20%の追加支給(合計70%、年間上限56万円)を雇用保険から支援がなされる。 |
6 | E資格 | ディープラーニングを実装するエンジニアの技能を認定するAIエンジニア向けの資格であり、「一般社団法人日本ディープラーニング協会」(JDLA)が創設した資格試験のこと。 |