コロナ禍で学んだ、会社を根本的に変化させることの重要性
石川まずは、アイデミーとのM&Aを考え始めた経緯について、聞かせてください。
金田M&Aに至るまでには、いくつかの段階があるんです。最初にM&Aを考えたのは約10年前。リーマンショックを乗り越え、コロナ禍に見舞われる前でしたが、自分のキャリアや会社の将来について大まかに考え始めたときでした。
金田M&Aに至るまでには、いくつかの段階があるんです。最初にM&Aを考えたのは約10年前。リーマンショックを乗り越え、コロナ禍に見舞われる前でしたが、自分のキャリアや会社の将来について大まかに考え始めたときでした。
本格的にM&Aを意識し始めたのは、自分の年齢が30代後半に差し掛かったタイミングです。それまでは、会社の成長と自分自身の成長がつながるものでしたが、30代後半に差し掛かると、「自分が成長することだけが会社の成長につながるわけではない」と実感しました。言い換えると、自分の成長を、事業が成長する原動力にしてはいけないと。
そして、社員の平均年齢も上がってきて、会社としての成長戦略を再考する必要があるとも感じました。ただ、まだ具体的にイグジットやM&Aを考えるには至っておらず、事業のピボットや多角化などで対応しようとしていましたね。
石川何か明確なきっかけがあったのでしょうか?
金田やはり、新型コロナウイルス感染症の影響でした。コロナ禍でリモートワークが可能になるなど、何度もトライしたいと思っていたことが次々と実現した。会社運営のあり方が大きく変わる機会が訪れました。
コロナ禍以前にはできなかったことが実現可能になり、会社を根本的に変えることのハードルが下がり、みんなの「当たり前」も変わった。自分たちの意志で「変える」と決めてさえしまえば、意外と大きな変化も受容できるものだ、ということをコロナ禍ではすごく思い知らされましたね。
「何かを決めて会社を大きく変える」ということの一つに、M&Aの選択もつながっていると思います。時を同じくして、マーケットもM&Aにオープンになってきて、 山田晋也 (※現在のファクトリアル代表取締役)と事業継承に関するイベントに参加してみたこともあったんです。事業譲渡やM&Aを検討している他の経営者とも話をしてみるなかで、M&Aに対するリアリティや必要性が増していくことを実感しました。
石川ちょうどその頃に、僕らもファクトリアルとお仕事を一緒にしてきて、アイデミーと一緒になりませんかというお話をさせていただいたんですよね。ただ、僕らもIPO準備などもありましたし、ファクトリアルの中でもまだイメージが固まらないという中で、協業という形でより関係を深めるに至ったのでした。
金田そうですね。それで、アイデミーがIPOを果たしてから、改めてM&Aの提案をいただいて。僕としてもM&Aやファクトリアルの未来像についての解像度が徐々に上がっていっていましたし、仕事をする現場からもカルチャーマッチの良さは聞いていました。
石川僕たちも上場後の事業戦略の一つとして、M&Aは柱にしていきたいと考えていました。最初にそのご相談をするのであれば、事業のシナジーや歴史的経緯も含めて、ファクトリアルの金田さんしかいない、という思いがあって真っ先にお話をしました。勇気を持ってご相談を差し上げたことを覚えています。
金田こういうのは自分の努力だけでは実現できず、周りとの縁も含めて、機を逃すとうまくできない。逆に言うと、うまくやろうと思って乗り越えた時に、想像もし得ないハッピーな新しい形が待っている。それはコロナ禍での変化でも身に沁みていたので、まさに好機なんだろうな、と思いました。